亀山市

忍山神社:三重県亀山市 延喜式内社【論社】

三重県亀山市野村に鎮座する延喜式内社である忍山神社の紹介になります。倭姫命が天照大御神をこの地で奉斎した「元伊勢」の地に創建された神社とされ、日本武尊の妃「弟橘姫」はこの神社の社家である忍山宿禰の娘であるとされています。

神社情報

  • 神社名:忍山神社
  • 鎮座地:三重県亀山市野村四丁目四番地六十五号

アクセス:JR西日本/東海 関西本線「亀山駅」徒歩25分 │ 駐車場:◯

< 紹介した三重県に鎮座する神社一覧 >

御祭神

  • 猿田彦命
  • 天照大御神

配祀神

  • 天児屋根命
  • 天布刃玉命
  • 倭姫命
  • 天照大御神荒御魂
  • 大比古命
  • 大若子命
  • 乙若子命
  • 天宇受売命
  • 大山津見命
  • 豊宇賀乃売命
  • 木花佐久夜姫命
  • 饒速日命
  • 大水口宿禰穂積命
  • 忍山宿禰
  • 建速須佐之男命
  • 大名牟遅命
  • 伊邪那岐大神
  • 伊邪那美大神
  • 市杵島姫命
  • 火産霊神
  • 菅原道真公
  • 保食神
  • 伊香我子雄命

ポイント

弟橘媛おとたちばなひめ」の生誕地

「弟橘媛」は日本神話における最大のヒーローとされている「日本武尊」の妃であり悲劇のヒロインとして知られています。
 相模国から上総国に海を渡る際に、日本武尊の発言が神の怒りをかってしまった為、暴風雨に襲われてしまいます。この時、登場したのが弟橘姫であり、荒れた海を沈めるべく人柱として海に飛び込み、日本武尊を助けています。
 日本書紀ではこの弟橘媛は穂積氏忍山宿禰の娘であるとしています。(忍山神社の配祀神にその名が記されています。)この地に猿田彦命を祀ったという「伊香我色雄命」の子である大水口宿禰の子孫が忍山神社の神官を明治時代まで勤めていたという。

伊香我色雄命 ─ 大水口宿禰 ─ 建忍山宿禰 ┬ 大木別宿禰
                       ├ 弟橘媛(日本武尊妃)
                       └ 弟財郎女(成務天皇妃)

社格等

  • 延喜式神名帳:伊勢国鈴鹿郡 忍山神社
  • 延喜式神名帳;伊勢国鈴鹿郡 布気神社(論社)
  • 国史見在社 :ー
  • 近代社格制度:村社

境内社

由緒・社歴

 社伝では「垂仁天皇七年に物部氏の祖である”伊香我色雄命”が勅命により猿田彦命を奉斎したのが創建と伝え、天照大御神を奉斎する場所を求めて各地を巡っていた”倭姫命”がこの地に半年ほど滞在し天照大御神を祀った「奈其波志忍山宮」(元伊勢)の跡地であるとし、後にその跡に天照大御神を祀る神社が創建された。」と伝えている。

倭姫命について書かれている「倭姫命世紀」の中で
「次に川俣の県造である祖大比古命が参上した。「汝の国の名は何ぞ。」と問うと「味酒鈴鹿の国の奈具波志忍山です。」と答えた。そして神宮を造営し行幸なさった。また、神田と神戸を寄進した。」と書かれています。

 大比古命が忍山に神宮を創建し倭姫命とこの地で天照大御神を奉斎し滞在し、更に神田と神戸を寄進したと書かれています。「大比古命」とは第八代孝元天皇の第一皇子であり、第十代崇神天皇の御代に大和朝廷の勢力拡大のために各地に送られた「四道将軍」に名を連ね、北陸方面に遣わされた後、川俣(伊賀・亀山周辺か?)の県造となったとされる人物になり、当サイトで紹介している加太の川俣神社の御祭神でもあります。

 文明年中(1469−86年)の頃に起こった兵乱(応仁の乱?)または永禄十二年(1569年)の信長による亀山侵攻などによる兵火によって社殿(神宮寺も含む。)悉く焼失し、白木山に遷座後、布気林に鎮座する布気神社の境内に仮宮を建立し遷座する。

布気皇舘太神社と忍山神社の関係

 今回紹介している忍山神社と程近い場所に鎮座しているのが延喜式内社(論社)となっている布気皇舘太神社になります。忍山神社が現在鎮座している場所は「布気林」と呼ばれていた様です。この場所には元々、布気皇舘太神社が鎮座していたと伝えられている場所になり、何やら両社の間には何やら深い関係性があるっぽいです。

  • 布気林周辺に周辺に居していた人々は猿田彦の末裔であり、祖神である「猿田彦命」を主祭神とした神社を建立、「布気神社」と称したという。その後「白鬚大明神」と呼ばれる様になった。
  • 布気林の北東に位置する場所に、伝説の斎王と呼ばれる「倭姫尊」が天照大御神を祀り奉斎したという「奈其波志忍山宮跡」があり、この地に天照大御神を祀った「忍山神社」が鎮座していたと言われている。そして神亀五年(728年)、忍山神社の神宮寺となる亀鶴山慈恩寺が行基によって建立されています。
  • 「皇館の森」は「雄略天皇の頃、皇受大神宮が伊勢国に遷座した際、鈴鹿郡で一宿した行宮の旧跡」だと伝えられており、豊受大神を主祭神とする「皇館社」が奉斎されていたと伝えられている。
  • 文明年中の兵火、織田信長による亀山侵攻による兵火により忍山神社が焼失した為、布気神社の境内に仮宮を造営し遷座した。
  • 布気神社の境内に忍山神社の仮宮が鎮座する状態が続いて行くうちに、いつしか「本宮:猿田彦命、新宮:天照大御神」とする忍山神社と称される様になり、「布気神社」の社名は隠れてしまうことになったという。
  • 時期は不詳ですが布気神社が皇館の森に遷座した。
    ※一説には戸時代の後期に布気神社を探したがその名が見当たらなかった為、皇館社に合祀されたと判断し式内布気皇館大神社と改称したという説もあります。

忍山神社のHPによると、元々は猿田彦命を祀る忍山神社と天照大御神を祀る忍山神宮と別れていたとし、織田信長の亀山侵攻において忍山神宮が焼失してしまい、忍山神社の境内地に遷座したとしています。

  • 創建:垂仁天皇七年
  • 奈良時代:神宮寺となる神福寺が創建される
  • 戦国時代;兵火により焼失、布気神社内に仮宮を建て遷座
  • 明治元年:村社に列格
  • 明治四十一年:近隣の神社及び境内社を合祀

祭式

  • 例大祭:十月十四日
  • 祈年祭:未確認
  • 新嘗祭:未確認

参拝記

 2014年に開通した亀山環状線の一部を形成する「忍山大橋」から忍山神社の鎮守の杜を望んだストリートビューになります。この鎮守の杜には元々布気林と呼ばれていた場所であり、猿田彦命を奉斎するために布気神社が創建された場所であると先に紹介しています。長い年月の中で忘れ去られていく神社も少なくない中、兵火で消失してもなお忍山神社の社名を残し仮宮を営みつつ、いつしか庇を貸して母屋を取られるではないですが布気神社から忍山神社に社名が変えてしまうというあたりから”強さ”を感じざるを得ません。

 社号標と神明鳥居が据えらえた境内入口になります。鬱蒼と茂ったまさに鎮守の杜といった感じです。

 延喜式内社を示す「式内」が合わせて彫られた社号標です。

 鳥居の先には社殿に向かって真っ直ぐ森を切り開いて参道が伸びています。

明治四十一年に合祀した境内社と近隣の神社一覧

忍山神明社忍山神社境内社天照大御神
天児屋命
布刀玉命
荒祭社 忍山神社境内社天照大御神荒魂
大倉社忍山神社境内社大比古命
大若子命
乙若子命
建日方命
伊爾方命
於須女社忍山神社境内社天宇受女命
能牟良神社鈴鹿郡野村字忍山建速須佐之男命
大名牟遅神
穂積社鈴鹿郡野村字忍山神吾鹿葦津比売命
豊宇賀売命
大山津見神
登利乃井社鈴鹿郡野村字野村大山津見神
山神社鈴鹿郡野村字上野垣内大山津見神
山神社鈴鹿郡野村字下野垣内菅原道真
天満社鈴鹿郡野村字守口伊邪那美大神
冨士社鈴鹿郡野村字清谷小花佐久夜姫神
伊都伎嶌社鈴鹿郡野村字清谷市木島姫命
愛宕神社鈴鹿郡亀山町大字野村字岩谷火産霊神
和賀神社鈴鹿郡野村字和賀建速須佐之男命
大名牟遅命
 ・石上社
 ・稲荷社
 ・山神社 
和賀神社境内社大山津見神
保食神
大山津見神
  • 亀山市: 20社鎮座 紹介19社目 19/20
  • 三重県:815社鎮座 紹介27社目 27/815

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 鳥居の手前には切妻銅板葺木造四本柱タイプの井戸と水盤が並んだ様式の手水舎が据えられています。

 扁額が掲げらえた明神鳥居の二の鳥居になります。

 大正期の生まれと思われる狛犬一対になります。

狛犬の特徴

 全国に一万社以上が鎮座する神社のその大半に据えられている「狛犬」。狛犬は邪気を祓い、神前を守護していると考えられています。その為、拝殿の前、参道、境内入口など要所に左右一対で据えられています。

 神道には「神様から見て左側(神前向かって右側)が上位」という思想があり、祭式作法、神社様式など神社に関わるほぼ全てがこの思想の影響を受けています。

 狛犬もこの思想を色濃く反映されていて、向かって右側に口を開いた阿像、向かって左側に口を閉じた吽像が据えられています。口を開いたり口を閉じたりしているのは、阿吽は、インゴのサンスクリット語の最初の音「ア」と最後の音「ウン」を発音した時の口の形を表しているとも言われ、「宇宙の最初と最後」を意味しているとも。この事から、「ア」を表現している阿像が上位としている訳です。

 入母屋造瓦葺平入の切妻破風の向拝が設けられた拝殿を有する社殿になります。

 忍山神社の本殿は神明造となっています。

  • 本殿:神明造(千木:内削ぎ・鰹木:六本)
  • 神門;ー
  • 幣殿:ー
  • 拝殿:◯(平入、向拝あり、濡縁なし)

 村内から集められたと思われる山神塚、庚申塚、弁才天塚などの石塔群になります。

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