三重県亀山市布気町に鎮座する延喜式内社の論社である布気皇舘大神社の紹介です。豊受大神の丹波から伊勢への御遷座の際に宿泊したと伝わる大舘の森に鎮座しています。近隣にある忍山神社とはかなり深い関係性がある様です。
神社情報
- 神社名:布気皇舘太神社(ふけこうたつだいじんじゃ)
- 鎮座地:三重県亀山市布気町一六六三番地
アクセス:亀山市コミュニティーバス「野尻バス停」徒歩4分 │ 駐車場:◯
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御祭神
配祀神
- 宇迦之御魂神
- 火之迦具土神
- 大山津見神
- 大名牟遅命
- 菅原道真
- 火之夜芸速男神
- 木花佐久夜比売命
- 宇都志国玉神
- 天宇受売命
- 五男三女神
- 帶中日子命
- 広国押武金日命
- 建速須佐之男命
- 猿田彦神
- 品陀和気命
- 稲田比売命
- 高御産巣日神
- 手力雄命
- 彦狹知命
- 手置帆負命
ポイント
伊吹戸主神は祓戸四神の一柱にあげらえる「罪穢れを拭き払う「祓」の神とされます。「大祓詞」に登場し、「海原に強風を生み出し罪穢を吹き払う神」と書かれています。
※祓戸四神:瀬織津比売、速開都比売、気吹戸主、速佐須良比売
社格等
- 延喜式神名帳:伊勢国鈴鹿郡 布気神社
- 延喜式神名帳:伊勢国鈴鹿郡 忍山神社
- 国史見在社 :ー
- 近代社格制度:村社
境内社
由緒・社歴
創建年代は不詳。
元々は布気林という所にて奉斎されていた神社であることから”布気神社”と称したとされる。文明年中(1469−86年)の頃に起こった兵乱(応仁の乱の事か?)による兵火によって社殿悉く焼失(この時に古い資料なども失われてしまったという。)してしまった為、皇館の森に遷座したと伝えられている。
時代は下り、江戸時代の享保八年(1723年)、当時、全国の神社に対して絶大な権力を持っていた”吉田家”より皇舘大神の神号を与えられ、社名を布気神社皇舘大神と消する様になったという。
吉田神社(京都)の社家である卜部氏の吉田兼倶がそれまでの神仏習合の考えである主を仏、従を神とする「本地垂迹」ではなく主を神、従を仏とした「反本地垂迹」を体現化し元本宗源神道、唯一宗源神道を唱った「吉田神道」を立ち上げた。そして時の幕政の支持を取り付け、次第に全国の神社・神職を勢力下に納め、神位や神号を授与する権限を掌握した。
明治四年に村社に列格し、明治三十九年には神饌幣帛料共進指定社となっています。そして明治四十一年に近隣の小社・祠などを合祀しています。
布気皇舘太神社と忍山神社の関係
今回紹介している布気皇舘太神社と程近い場所に鎮座しているのが延喜式内社(論社)としている忍山神社になります。この忍山神社が鎮座している場所が「布気林」になります。そう、由緒で紹介していますが、元来、布気皇舘太神社が鎮座していた場所になります。両社の間には何やら深い関係性があるっぽいです。
- 布気林周辺に周辺に居していた人々は猿田彦の末裔であり、祖神である「猿田彦命」を主祭神とした神社を建立、「布気神社」と称したという。その後「白鬚大明神」と呼ばれる様になった。
- 布気林の北東に位置する場所に、伝説の斎王と呼ばれる「倭姫尊」が天照大御神を祀り奉斎したという「奈其波志忍山宮跡」があり、この地に天照大御神を祀った「忍山神社」が鎮座していたと言われている。そして神亀五年(728年)、忍山神社の神宮寺となる亀鶴山慈恩寺が行基によって建立されています。
- 「皇館の森」は「雄略天皇の頃、皇受大神宮が伊勢国に遷座した際、鈴鹿郡で一宿した行宮の旧跡」だと伝えられており、豊受大神を主祭神とする「皇館社」が奉斎されていたと伝えられている。
- 文明年中の兵火、織田信長による亀山侵攻による兵火により忍山神社が焼失した為、布気神社の境内に仮宮を造営し遷座した。
- 布気神社の境内に忍山神社の仮宮が鎮座する状態が続いて行くうちに、いつしか「本宮:猿田彦命、新宮:天照大御神」とする忍山神社と称される様になり、「布気神社」の社名は隠れてしまうことになったという。
- 時期は不詳ですが布気神社が皇館の森に遷座した。
※一説には戸時代の後期に布気神社を探したがその名が見当たらなかった為、皇館社に合祀されたと判断し式内布気皇館大神社と改称したという説もあります。
元々、布気神社は猿田彦命を奉斎する神社として創建されたと考えられていますが、現在の布気皇舘太神社の主祭神にその名がない(明治四十一年に合祀した際に猿田彦命を祀る神社があったようで現在では配祀神の中にその名を確認することはできます。)ことから、式内社布気神社は現在の忍山神社であるとする説も根強いようです。
皇館の森
現在、布気皇舘太神社が鎮座する場所は「垂仁天皇十八年、川俣県造である大比古命が参上し倭姫命より「汝の国の名は?」と問われたので「味酒鈴鹿国、奈具波志忍山」と答えた。そして神宮を造営し倭姫命が行幸され天照大御神を奉斎された。また神田と神戸を献上された。」と倭姫命世記に記された「神戸」が住んだ神戸郷(野尻、落針、太岡寺、山下、木下、小野、鷲山の七ヶ村)に位置しているとされています。
そして、この神戸郷には「雄略天皇二十二年七月、豊受大神が丹波国から伊勢国に遷座されるときに鈴鹿郡で一宿した。」と止由気宮儀式帳などに記されているされる行宮跡があり、そこに皇館社が創建されたという。
- 創建:不詳
- 明治四年(1871年):布気神社・皇館太神社の社名で村社に列格
- 明治三十九年(1906年):神饌幣帛料共進指定指定社となる
- 明治四十年(1907年):社名を皇館太神社に改称
- 明治四十一年(1908年):近隣の小社、祠を合祀
- 明治四十一年(1908年):布気皇館太神社に改称
祭式
- 例大祭:十月十五日
- 祈年祭:未確認
- 新嘗祭:未確認
参拝記
今回紹介する布気皇舘太神社は忍山神社から旧東海道を西に進んだ場所に鎮座しています。両神社は直線距離にして800mほどしか離れておらず徒歩で両神社を参拝するのも十分可能になっています。布気皇舘太神社から少し西に進むむと東名阪道の亀山インターチェンジがあり国道一号線と名阪国道が交差する名阪間の重要な交通拠点となっています。
旧東海道沿いに設けられた境内入口の石段になります。石段の両端に石灯籠が設けられていて非常に印象深い造りになっています。石段を登った先に石造神明鳥居と延喜式内が合わせて彫られた社号標が据えられています。
こちらは先に紹介した境内入口から真っ直ぐ伸びた先にある集落側の境内入口になります。こちらも参道の両端に石造燈籠が並んでいるのが特徴的ですね。
明治四十一年に合祀された神社一覧になります。それぞれの御祭神については資料が見つからないので不詳ということになりますが、配祀神の神名と照らし合わせるとなんとなく見えてきます。
| 八幡社 | 大字布気山之下 | 落合社 天満社 秋葉社 山神社(五坐) 冨士社 厳島社 愛宕社 |
| 宇気社 | 大字大岡寺 | 神明社 金刀比羅社 山神社(四坐) 冨士社 宇気比社 平家社 |
| 南宮大神社 | 大字木下下 | 大穴牟遅社 稲荷社 大峯社 金刀比羅社 冨士社 井栄社 津島社 愛宕社 山神社 |
| 廣高社 | 小野末広 | 山峯社 冨士社 神明社 八幡社 山神社 |
| 山下神社 | 山下沢 | 金刀比羅神社 冨士社 愛宕社 八幡社 山神社 |
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- 三重県:815社鎮座 紹介26社目 26/815
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子乗り玉乗りの狛犬一対になります。全体の造形から大正期前後の生まれかと思うのですが・・・。あと、子供の頭に載せた手の感じと子供の表情から”げんこつ”しているっぽく見えますな。
狛犬の特徴
全国に一万社以上が鎮座する神社のその大半に据えられている「狛犬」。狛犬は邪気を祓い、神前を守護していると考えられています。その為、拝殿の前、参道、境内入口など要所に左右一対で据えられています。
神道には「神様から見て左側(神前向かって右側)が上位」という思想があり、祭式作法、神社様式など神社に関わるほぼ全てがこの思想の影響を受けています。
狛犬もこの思想を色濃く反映されていて、向かって右側に口を開いた阿像、向かって左側に口を閉じた吽像が据えられています。口を開いたり口を閉じたりしているのは、阿吽は、インゴのサンスクリット語の最初の音「ア」と最後の音「ウン」を発音した時の口の形を表しているとも言われ、「宇宙の最初と最後」を意味しているとも。この事から、「ア」を表現している阿像が上位としている訳です。
集落側から伸びる参道の先に神明鳥居の二の鳥居が据えられています。この造りを見る限り、集落側の参道が表側なのかもしれません。
木造切妻銅板葺四本柱タイプの手水舎になります。水盤の造りが独特ですね。
入母屋造瓦葺平入の入母屋破風の向拝が設けられた拝殿になります。こちらの拝殿は基礎の感じから平成に造営された感じがします。
本殿は神明造となっています。拝殿から本殿へは渡が設けられています。
本殿が鎮座する傍に神明造の境内社が鎮座しています。こちらの境内社についてはまったく情報がないのでなんとも言えないのですが、合祀した神社の御祭神が祀られているのではないかと思うのですが。
- 本殿:神明造(千木:内削ぎ・鰹木:六本)
- 神門;ー
- 幣殿:ー
- 拝殿:◯(平入、向拝あり、濡縁なし)
その脇には「富士山大権現」と彫られた石塔が据えられていました。元々こちらにあったものなのか、合祀した神社から移設された物なのかは不明なのですが、なんとなく配祀神に名前が見えている木花佐久夜比売命を祀っていた石塔なんだとは思います。
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